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メヒカリの豆知識と雑学|深海にひそむ“小さなごちそう”の知られざる背景
メヒカリは、見た目のかわいさや料理のしやすさだけでなく、生態・地域文化・流通などにユニークな特徴がたくさんあります。知るほどに魅力が深まり、「もっと身近に感じる魚」になるはず。ここでは、これまでの記事では触れていない“ちょっと面白い豆知識”をまとめて紹介します。
メヒカリの名前の由来:深海の進化が生んだ大きな青い目
「メヒカリ」という名前は、その名の通り“光る目”に由来します。深海に生きるメヒカリは、暗闇でも周囲を認識できるよう、眼が発達して大きく、青く光るように見えるのが特徴。光沢のあるその瞳は市場でもひときわ存在感を放ちます。
学名は アオメエソ(青目狗母魚)。青く透きとおる目をもち、柔らかい身と脂を備えた、非常に希少性の高い深海魚です。
深海200〜300mに棲む魚:厳しい環境が旨味を育てる
メヒカリは主に水深200〜300mほどの深海に生息しています。この水深は光がほとんど届かず、海水温も低く、安定した静かな環境。そのため身にたっぷり脂が蓄えられ、あの“しっとりとした食感”につながっています。
深海魚というと癖があるイメージがありますが、メヒカリは驚くほどクセがなく、むしろ甘くやさしい味わい。深海の厳しい環境が生んだ、上質な身の柔らかさが魅力です。
福島・いわきを中心に“地域文化”が育つ魚
メヒカリは全国的に知られている魚ではないものの、地域によっては“生活に根づいた食文化”を持っています。
特に福島県いわき市では、メヒカリは「常磐もの」を代表する魚として大切にされ、唐揚げや塩焼きは家庭料理として親しまれてきました。
市場や飲食店の定番メニューになっている地域もあり、「大衆魚でありながら、ごちそう」という立ち位置を持つ、とても興味深い存在なのです。
同じ“メヒカリ”でも正体はちょっと違う?
一般に「メヒカリ」として流通している魚は、実は1種類ではありません。最も多いのはアオメエソですが、近縁種の マルアオメエソ(丸青目狗母魚) が混ざることもあります。
アオメエソは細身で脂のりがよく、唐揚げや天ぷらに最適。一方、マルアオメエソは体が丸みを帯び、刺し身や酢じめに向く繊細な風味があります。市場では区別されないことが多く、どちらも“メヒカリ”として扱われていますが、この違いを知っていると料理の幅がより広がります。
実は“高級干物”になるポテンシャルを持つ魚
メヒカリは、干物にすると驚くほど旨味が強くなる魚。深海で育ったしっとりした脂と柔らかい身が、乾燥によってぎゅっと凝縮され、贅沢な味わいになります。
地域によっては「高級干物」として扱われ、食通の間では“知る人ぞ知る魚”として支持されています。家庭でも一晩干すだけで作れるため、今注目が高まっている調理法のひとつです。
旬の時期には脂がのり、丸ごと食べられる希少な魚
冬から春にかけて旬を迎えるメヒカリは、身の中まで脂がしっかりと入り、ほろっとほどける食感になります。しかも骨が非常に細く、丸ごと揚げたり焼いたりしても食べやすいという、小魚の中でも珍しい特徴を持っています。
“丸ごと食べられる深海魚”というのは実はかなり貴重。人気が高まってきた理由のひとつでもあります。
小さな姿に魅力がぎゅっとつまった、奥深い深海魚
メヒカリは、青く光る目に象徴される深海の神秘だけでなく、地域文化、食べ方、旬、近縁種の違い、脂のりの良さなど、知れば知るほど面白さが広がる宝石のような小さな魚です。
唐揚げだけじゃもったいない。その背景を知ることで、食卓での存在感もぐっと増していきます。メヒカリはまさに “深海がくれた小さなごちそう” と呼びたくなる魚です。

ボンキッシュでご用意している福島県産 メヒカリの香港式フリット 青海苔風味は、脂がのったやわらかな白身が特徴の福島県産メヒカリを、香港の家庭料理をルーツにしたフリットに仕立てた逸品。中国料理の名手・シャウ・ウェイシェフならではの一皿は、爽やかな白ワイン「ミュスカデ」とのペアリングがおすすめです。ご家庭で、本格中国料理の趣をご堪能ください。
参考文献
・藤原昌高(2010)『からだにおいしい 魚の便利帳』高橋書店
・西潟正人(2020)『改訂新版 日本産 魚料理大全』緑書房
・島津修(2018)『いちばんくわしい 魚のおろし方と料理』成美堂出版
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