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夏を告げる魚、スズキ|日本文化に深く根付いてきた魚

2025.10.02

夏を告げる魚、スズキ

古くから「夏の白身魚」として親しまれてきたスズキ。料亭や寿司店では夏の風物詩として扱われ、旬を感じる魚としての位置づけを確立しています。鯛ほど派手さはないものの、その上品でさっぱりとした味わいは、暑い季節にぴったりのごちそうです。

出世魚としての縁起

スズキは、成長に応じて名前が変わる“出世魚”。セイゴ、フッコ、スズキと呼び名が変わることから、縁起の良い魚として祝いの席に登場することもありました。関東では特に「出世の象徴」とされ、江戸時代の武家文化や庶民の行事食でも重んじられてきました。

地域ごとの文化

関東では江戸前の代表的な魚として寿司や洗いで人気を博し、夏場のごちそうの定番でした。一方、関西では鯛やハモの影に隠れることも多く、やや地味な存在として扱われてきました。それでも各地の市場では「夏の魚」として需要があり、地域性の違いを反映しています。

名前に「スズキ」がつく魚

実は「スズキ」という名前を持ちながら、別の種類に分類される魚もいます。たとえば「ヒラスズキ」は磯に生息する近縁種で、スズキとは食味や市場価値が異なります。こうした名称は、姿形や生息環境の違いを表すものでもあり、同じ“スズキ”でも地方ごとに意味合いが少しずつ変わるのです。

食文化での立ち位置

スズキは「鯛ほど華やかではないが、夏には欠かせない魚」として、日本の食文化に根付いてきました。祝いの席では鯛が登場することが多い一方で、日常の食卓や料亭では「旬を味わう季節の魚」として重用されてきたのです。派手さはなくとも、確かな存在感を持つ魚として、今も多くの人に愛されています。


スズキは出世魚として縁起を担い、地域によっては夏の味覚の代表格として親しまれてきました。文化的な背景を知ることで、食べるときの楽しみもひとしおですね。

参考文献
・藤原昌高(2010)『からだにおいしい 魚の便利帳』高橋書店
・西潟正人(2020)『改訂新版 日本産 魚料理大全』緑書房
・島津修(2018)『いちばんくわしい 魚のおろし方と料理』成美堂出版


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